1k≒innocence

散文だったり、アニメ分析だったり。日常が切り取られていく姿は夏のよう。

サマーウォーズ観てきた

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割と面白いです。
時かけが好きな人なら十分楽しめます。
以下ネタバレを含みながらの感想と簡単な考察。



■キャラクター■
30人近い登場キャラがある程度全員印象付いている点は面白い。
個人的にキャラが立ってこない作品はあまり面白くないので…
前のエントリーで書いた戦場のヴァルキュリアとかは割と好きなんだけど、未だにキャラと名前がわからない登場人物がいる。
こうなるとわからない部分があってもあまり見返す気になれないのは俺だけですかね。


個人的に好きなのは夏希とカズマ。
最近のアニメのステレオタイプ的な中高生に飽きてたので新鮮でした。
特に夏希の気分のコロコロ気分変わるのっていかにもって感じで、いいリアリティがありました。

出てくる「人」はとても好きです。
ばーちゃんの「できる」連呼はとても清々しかったし、カズマが典型的ヒキヲタ中二病ではなく、やるときはやるイケメンだったのもよかった。


今作は誰かのキャラクターに感情移入して共感するのではなく、観客自身も陣内家の一員として共感し、物語が進んでいく形だと思います。
だらしない家族もいればしっかりものもいる、家族らしい家族の詰め合わせが陣内家。
陣内家に自分らしい人を見つけるのは困難ですが、自分の親族、家族らしい人を見つけるのはかなり容易でしょう。
その時陣内家は観客の家族となりうる可能性が出てきて、それが共感へとつながるわけです。


■ストーリーと対立構造■
そしてストーリーとしては家族vsラブマシーン(自動AI)を仮想空間OZ内でなんやかんやし、ラブマシーンを止めること=世界を救う、という形になっている。

わかりやすくできてるんだけど、ラブマシーンは思想も感情もないモノであって、実はこの対立は勧善懲悪的なモノではない。
ラブマシーンは人間側から観たら悪者だけど、ラブマシーンにはその意識が全くないから。

この「悪者に見える悪者じゃないモノ」は最終兵器彼女とかほしのこえにも見られる。特にほしのこえのタルシアン的なものかなと思ったり。
ただタルシアンの数倍暴力性みたいなものはあるけど。

そういう意味でサマーウォーズには若干のセカイ系的構造を見ることができる。
あまり細田監督ってそういうイメージがなかったのでちょっと意外といえば意外だった。
まあでもゼロ年代のSFはそうならざるを得ないんだろうなあ。


本作のキャッチ、「これは、新しい戦争だ。」
これは「誰が悪者か分からない戦争」という風に感じます。


■演出■
時かけを踏襲するような演出がいくらかありました。
・ヒロインボロ泣き
・ヒロインあえぎ声(違)
・キスすると思いきや…

前作を見てるからこそニヤニヤしてしまう。



■個人的なダメ出し■
安易にラブマシーンはアメリカの扱いが悪くて暴走した、みたいなのはちょっといただけなかった。
せっかく悪いヤツがいないのに、中途半端にアメリカのせいにしてしまったのはすごいもったいない気がした。

…といっても多分俺がセカイ系に傾倒しすぎてるせいだとおもうんですけどね。
アニメとかで社会的要素を排することに慣れちゃってるから、物語の外部世界の情報が入ってくることに違和感を感じてるんだと思います。
一応普通の人から見たら落とし前的なところで済むんでしょう。


それとあまりBGMが印象に残らなかった。時かけはあれだけおいしかったのになあ。
あと夏希のアバター変身シーンはあれどうなんだ…細田監督にああいうのはちょっとやってもらいたくなかったなー


そして割ともったいないと思ったのが季節感や空気感が時かけに比べて薄かったこと。
特に夏らしい空気感が弱かったのがかなり残念。


時かけやトトロが何度も見られる理由って日本らしい夏が描かれてるところが一番だと思うんですよね。
時かけは今の10代〜アラサーぐらいの夏の感覚をしっかり捉えてるし、トトロはステレオタイプ的な日本の夏を凝縮してる。
というか日本の夏のイメージってトトロが固定化させた部分でかいんじゃないかな。
なんだかんだで「日本の冬」とか春とか秋とかより、やっぱり「日本の夏」ってそこに詰め込まれてるミームの濃さが段違いだと思うんですよ。

だって「日本の冬」って言われて日本人が想像するのって結構バラバラなんじゃないかなあ。
クリスマスか、正月か…雪の有無は?などなど。
「日本の夏」って言葉はかなりすごい言葉だと思います。


で、そんな夏の印象を作るのって「光」と「引きの映像」だと思うんです。

時かけは

・朝、昼、夕、夜
・室内、室外の光の度合い
・室外の影のつき方

などがかなり意識されてました。
"Time waits for no one."のあの理科室の南向きの窓からの光、ベタな程にきれい書き込まれたラストシーンの河川敷の夕日と高速道路のコントラスト…
都市の夏らしさをうまく切り取ったシーンが多々ありました。


トトロはこれらに加えて引きのシーンで背景をきれいに見せつけているが印象的です。
もちろん時かけにもそういうシーンはありますが。

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このイメージ画はめちゃくちゃ好きです。


で、サマーウォーズにはこういうシーンがあまりにも少なかった。
陣内家の家の中のカットがあまりにも多すぎて、空間的広がりがあまりにも感じられなかったわけです。

もう少し周りの季節感を出すカットがいろいろちりばめられていてもよかったんじゃないかと思います。
朝顔とかはもっと印象的に使えたんじゃないかなー。


…とは言っても実は全部が全部これが悪いわけではなく。
ばーちゃんの回想シーン↓
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ここにすべて集約させようとしていたのなら、それはそれでアリだったのかも。
このシーンはかなり印象的でした。


■まとめ■
今作で細田監督の今後の評価みたいなものが決まると思ってるのですが、どうやら悪い方向にはいかないとは思います。
客層が中学生から親世代まで幅広かったですし。
夏の映画の監督、という印象は広く打ち出させているんじゃないでしょうか。
これから日テレはアニメに注力していくのだろうかw



…ところで本作の名台詞って何になるんでしょうね?
候補的なセリフはかなり多いんですが、決定打までいくセリフが思い当たらない…
mixiのコミュ見ると「こいこい」の人が結構いますが。

「未来で待ってる」に続くセリフがそのうち出てくることでしょう。
一応一個だけ。

ラブマシーンだよ」
「えっ何それモー娘。?」

とりあえずこれを。


春原ロビンソンさんも割と近いこと書いてたんで参照。
http://d.hatena.ne.jp/haru_hara/20090806/1249528784

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