「老後2000万問題」の資料を淡々と辿ってみたらタモリに行き着いてしまった
あまり普段社会の話はしないブログですが、今話題の「 老後2000万問題」 の資料を辿るうちに楽しくなってきたので皆さまにこの気持ちをシ ェアしたくなりました。
1 、今回の大元である「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」」 にアクセスします。
ページ番号10に話題になった「月約5万の不足」 のグラフがあります。 「30年で2000万不足」という記述はページ番号16の下の方に書かれています。
2、 このグラフの出典が「 第 21 回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料 」とのことなので、当該資料にアクセスします。
ページ番号24に全く同じグラフがあります。 しかもこちらでは「月5.5万の不足」になっています。
上記資料のうち、ページ番号28を見ます。 今回の根拠となった「 高齢夫婦無職世帯の家計収支 」が載っています。
グラフの形は違いますが、 表示されている各項目の金額は一緒です。月の不足分は「54519円」とかなり細かく計算されています。
5、ここで同資料のページ番号27に戻ります。すると 「 <参考6> 世帯主が60歳以上の世帯の世帯属性別分布(二人以上の世帯) 」という表があります。
この表を読むと、今回話題になっているグラフに該当する「 高齢夫婦無職世帯」は、世帯主60歳以上の世帯のうち「35. 6%」であると示されていました。マーカーは自分でつけました。
まとめると以下のようになります;
「老後2000万問題」は、 少なくとも現時点で該当するのは高齢夫婦世帯のうち、無職世帯である35. 6%が対象である。年金世代全員が該当するわけではない。
60代でも平日朝3時間のパートにでも出れば月5万程度はカバー できるでしょう。 その頃でも働ける程度には健康である必要はあると思いますが。
また先程述べた35.6% の方の平均純貯蓄額は2484万と同じグラフに記載されていま す。
そうなれば35.6%という数字ももう少し小さくなるでしょう。
もちろんさらに高齢になれば、 いろいろお金の問題も出てくるでしょう。
少なくとも世の中全員2000万足りない! と思い込むのは早計のように思われます。
とにかく世の中の雰囲気に流されずに自分なりのライフプランを見 立てておくことが肝要であることがよくわかる機会でした。
お金について学ぶきっかけになるといいですね。
ところで今回の資料を眺めているうちに気になる数字を見つけまし た。
2で示した厚労省の資料のページ番号41にこんなグラフがありま す。
赤丸の箇所を拡大します。
5100万。
小学校の頃作ったオリジナルのカードゲームのパワー値か、マンションポエムと一緒でしか見ない数字です。
このグラフでは就職時から資産運用して、さらに退職金(グラフ上で計算すると2000万)をもらって5100万確保する計算になっています。
このグラフだと退職時の試算が3100万ありますし、話題の2000万とはどうも話が違うようです。
出典は「 2018年10月 第14回金融審議会市場ワーキング・グループ 高田委員提出資料 」とのことですのでアクセスしてみます。
31ページに同じグラフが出てきました。どうやらみずほ総研の作成資料のようです。
確かに5100万と書かれています。
この資料の23ページでは「老後資金は9750万必要」と記載されていたのです。
つい先程まで5100万であったはずの老後資金が突然倍になりました。
更に読み進めると、43ページでは1億5000万必要になりました。
特に脚注されている「月額32万」はどう計算されているか僕には不明でした。
想定月額については既に同資料の21ページで図示されていますが、なぜ32万という額に至ったかまったく読み取れません。
同じ資料の中で老後資金の話をしているはずなのに、ページをめくる毎にどんど ん金額が増えていきました。
もっと資料が長ければ3億くらいになったのでしょうか。恐ろしい話です。
私の知らないみずほ総研秘伝の計算方法があるか、そうでなければ 資料作成したのがクッキーババアだったとしか考えられません。まだ1億5000万程度で済んでよかったのかもしれません。
2000万か、5100万か、9750万か1億5000万か。
どの計算を信じるかは皆さまでご判断いただければと思います。
心霊写真特集のテレビ番組がなくなって久しいですが、現実はフィクションよりも奇妙なようです。
来客があったようですのでここで失礼します。