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1k≒innocence

散文だったり、アニメ分析だったり。日常が切り取られていく姿は夏のよう。

「今 変わっていくよ」―『シャーロット』OPから読む輪廻と抵抗の意志

新作アニメ『シャーロット』が始まりました。

麻枝准のオリジナルアニメとしてP.A.WorksAngel Beats!から5年ぶりに手がける本作ですが、これがとても素晴らしい作品になっています。

PA贔屓なのは自覚あるんですが本当にすごいんです。2話目にして泣きました。

今回その2話で通常OPがつきましたが、OPから得られる情報を整理していくほどに本作への期待がどんどん高まっていく一方、キャラクターの心象や運命への不安が大きくなりすぎてまして、今こうして手を動かして平静を保とうとしています。

 

 

 

 

ところでヒロインの友利奈緒っていう人がですね、その、すごく"""いい"""んですよね…

 

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↑安易なオタクを殺しにかかってくるヒロイン(最高です)

 

はあ佐倉綾音さん…

 

終始だるそうな佐倉綾音さんの演技…

 

でもたまにはキリッとしめる佐倉綾音さん…

 

佐倉綾音さん、「あっ誕生日一緒なんだ~へ~この人ちょっと気にしてみよう」夢喰いメリーからずっとチェックしてきたのですが、ここ1年くらい演技の幅も声の作り込みもすごくレベルが高くて、何かしら出演してるのを見るとあーっ!!って歓喜してます。

ただあまりこういうゲーム的作品の文脈になかった人だと思っていたので、PA/麻枝作品への出演というのはかなり意外でした。

 

それでもハマってきてるからもうね、うん…ああ…

 

はあ…

 

本題です。

既存の麻枝准作品同様、非常に情報量の多い本作のOP。

僕なんかよりずっとこれまでのkey作品への知見や文脈の理解度が高い人は山ほどいますから、そうした方の解説を待つ一方、個人的にザクザク心に刺さってきた部分だけを絞って書いていきます。

※少し2話の内容に触れています。未視聴の方はご留意ください※

 

 

■ループ、ループへの自覚、そして抵抗

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↑友利の音楽プレイヤー。

 

OPで複数回出てくる友利の音楽プレイヤー。この音楽プレイヤーで彼女は劇中バンド「ZHIEND(ジエンド)」の楽曲を聞いているようです。そしてこのバンドは彼女の兄が幼少期の友利に薦めたバンドでもあります。

「ZHIENDを無限に流し続ける音楽プレイヤー」こそ、友利が置かれた現状と過去、そして場合によっては未来すらも示しています。

終わらないZHIEND。

 

 

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上:加速する時計と、つながれなかったふたつの手

下:つながろうとするふたりの手

 

前述したように、友利は抜け出せないループにはまってしまっています。

そしてOP冒頭、加速する時間の中でつながれないふたつの手。

このふたつの手が誰のものかは明示されませんが、本作の各キャラクターが持つ共通の負のループを示していることでしょう。またそのループへの自覚はあるが、手を伸ばしても救いはもたらされてこなかった

 

しかしOP後半、主人公乙坂と友利は空中落下する中、なんとかお互いの手を取り合おうと必死に手を伸ばします。

「今度こそ、今度こそここから抜け出そう」

そういう祈りにも似た必死の抵抗を、感じずにはいられないのです。

 

■「帰りたい」「シャボン玉」「ハングドマン」

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↑☓2「踵を鳴らし、魔法をかける」

ユリ熊嵐』でも使用されたオズの魔法使いの引用と考えます。

オズの魔法使いでは「踵を三回鳴らすと家に帰れる」のですが、ここで友利は踵を一回しか鳴らしません。つまり「帰りたいけど、帰れない」のではないでしょうか。

作中にも示される「不完全な能力」ともつながります。

 

友利の帰りたい家は、きっともうないのです。

 

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↑☓2祈りとシャボン玉

このブログでも繰り返し言っていることですが、画面に向かってキャラクターが左を向いている状態は「正」の状態です。

シルエットとなった妹ちゃんと重なって祈る乙坂と、シャボン玉(=いずれ消えゆく存在)を放つ乙坂。妹ちゃんの将来は、シャボン玉なのでしょうか。

ここはちょっと確証が薄いですが、個人的な予感として記載しておきます。

 

 

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↑画面的には楽しいが…

 

既に一部で大人気の高城(左)と、まだ本編では登場していない西森(右)のふたりが宙吊りになって笑顔でぶらぶらしているカット。

このカットが個人的に一番ざわつきました。というのもこのカットでふたりが限りなくいい人だと直感したからです。

 

ここで引用するのはもちろんタロットカードの「ハングドマン」です。

ハングドマンの大義は「誰かのために犠牲となって吊られている」とのことです。

またこの犠牲をハングドマンは苦痛と思っていません。むしろ吊った人を信頼し、進んで吊られているから笑顔でいる。

このふたりの吊られる物語が必ずどこかで出てくることでしょう。

 

■道化(愚者)のゆくえ

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↑☓3「ばぁー!!」喜び勇んで崖へと走り抜ける歩未。その最後の表情は喜びか?

 

主人公乙坂の妹の歩未ですが、もしタロットカードの引用が可能であるなら「道化(愚者)」としての役割を僕は読み取ります。

作中でも若干電波気味なマスコット(=道化的)の歩未ですが、メインキャラクター5人の中でも唯一同じ組織(生徒会)には属していないイレギュラーな存在です。

そしてOPラストで崖への一本道をひとり走り抜ける歩未ですが、愚者のカードもまた「崖へと歩み進んでいく」カードです。それだけ彼女は自由な存在であり、さまざまな可能性を秘めているのです(いい意味でも悪い意味でも)

 

また既存のタロットカードに後付けでナンバリングされたため、愚者のカード番号は0らしいです。(ライダー版タロットのみ)

「歩未=まだ進んでいない=0」とこじつけるのも楽しそうです。

 

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完全にひとりぶんの間の抜けた最後のカット。

Angel Beats!のEDを踏襲するのであれば、一番左に歩未を取り戻せるかどうかが、乙坂の運命の鍵となるでしょう。

 

■まとめ「今 変わっていくよ」

本作の色彩構成では「青色」の使い方が非常に印象的です。

青色、ループ、崖…完全に個人的な趣味ですがこの曲を思い出さずにはいられませんでした。

 


スピッツ / 青い車 - YouTube

 

「永遠に続くような 掟に飽きたら

シャツを着替えて出かけよう」

 

 ファンの間では道連れか何かでは、という鬱な解釈が有名な曲です。

しかし『シャーロット』に合わせるならば、彼らが抜け出せない運命への抵抗の成功を願うのにぴったりの曲ではないかと思うのです。

 

「そして輪廻の果てへ飛び下りよう

終わりなき夢に落ちて行こう

今 変わっていくよ」

 

どうか彼らの運命が、彼らの望む形になりますよう。