1k≒innocence

散文だったり、アニメ分析だったり。日常が切り取られていく姿は夏のよう。

カゲロウプロジェクトについて本気出して考えてみたら今のティーンが羨ましくなった

@各位

メカクシティアクターズ』、超面白いです。

面白いというより、今後がすごく気になるって感じ。

 

Ref.1 音源発売前にフルで公開されたOP"daze"

 

 

daze / days(初回生産限定盤A)(DVD付)

daze / days(初回生産限定盤A)(DVD付)

 

 

ぶっちゃけアニメ始まる前にインターネットでいろいろ騒いでたじゃないですか。

その騒ぎの内容より、騒ぎ自体になんか冷めちゃってました。

アニメイトとかでグッズ大量に並んでてもあーはいはいって感じ。

でもシャフトだし阿澄佳奈だし時間もMXなら遅くないし見るか、って。

 

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FIG.1 青いニャル子さん

 

いやーとても興味深いです。

アニメ視聴の作り方とか視点が一気に新しくなる気がしてて、多分数年したら何かしらのスタンダードを残してくれるんじゃないかって思います。

 

 

■原作と脚本は遠ざかり、主従関係は変容する

メカクシティアクターズ』は飽くまでカゲロウプロジェクトのメディアミックスという立ち位置にあり、脚本はオリジナルだけど原案として既発の「楽曲」が存在するのが無視できません。

なので楽曲のストーリー力、歌詞ってより散文詩みたいなお話としての要素、ってのがすごい重要になっています。

 

メカクシティアクターズ』では既存曲1曲あたり1話分の原作という構成になっています。

 普通に考えて「1曲で30分アニメの原作」ってすごいですよね。だって数百字くらいの歌詞が原作のすべてなんですよ。PVとかあるにしても。

 

Ref.2 割とこれ好きです

 

だから「原作見ろよwww」みたいな、アニメ視聴者が原作にあたることでストーリーを補完するという行為が『メカクシティアクターズ』の場合なかなか難しい。

原作っぽいものがあるんだけどオリジナルって面白くないですか。

 

■音楽の物語性がひとつの到達点に達した

コンテンツってあまりいい言葉じゃないですが、「コンテンツを売るのは物語性」という時流になって久しいです。

アイドルのウリがCDとステージではなく、そこに到達するまでのドキュメンタリーが本質になったように、過程によって肉付けされて初めてコンテンツが見向きされるようになりました。

その好例がアイマスとかラブライブ!なんだけど、ここでそれ書くと話それすぎるのでまた別の機会に。

 

もともと映像作品に於ける音楽(主題歌)って、物語性を受ける側であることがほとんどでした。

ミスチルとかB’zとか、あとビーイング系もそうだけどゼロ年代くらいまでってドラマとかのタイアップで「あー○○の曲ね」ってみんな言ってたじゃないですか。

アラサーくらいの人に『LOVE PHANTOM』の話したら絶対X-FILEの話になるでしょ。


B'z / LOVE PHANTOM - YouTube

 

つまり1クール12時間のドラマをダイジェストしてくれる存在として、数分の主題歌がありました。

社会的な嗜好が変わってきたのもありますけど、ここ数年でそういう楽曲ってめっちゃ減ったと思います。斉藤和義の『やさしくなりたい』とかそんなもんじゃないですかね。あとあまちゃんとか。

 

その一方でインターネットではブラック★ロックシューターのメディアミックスとか種々のボカロ小説とか、いままで物語を受動する存在だった「楽曲」がむしろ主体となりコンテンツの核となってきました。

それらの積み重ねの到達点として『メカクシティアクターズ』あるのでは、と強く感じるわけです。

 

前述したブラック★ロックシューターのアニメも見てましたけど、楽曲とのリンクはそこまで強くないですし、楽曲自身の持つ物語性が毎話のストーリーに強く連動している意味で『メカクシティアクターズ』は稀有な存在と言える気がします。

 

楽曲が中心となったコンテンツ生産はニコ動で誰かが曲作って、誰かがPVを作ってという二次生産が源流だと思うんですけど、もっと遡ればBUMP OF CHICKENのラフメイカーのフラッシュアニメあたりが本当の元ネタだと思います。

それとバンドものの歌詞がすごい具体的にお話調になってきたのってBUMP OF CHICKENもそうですし、RADWIMPSとか、そういう人たちの影響も大きいのではと感じます。


ラフメイカー - YouTube

(フラッシュなのに動画でみる違和感)

 

■サウンドの文脈

カゲロウプロジェクトの楽曲に感じる特徴としてこんな物が挙げられます。

・シングルコイル系のギターでカッティング多用

ゼロ年代以降の邦楽ロック、言うなければロキノン系スケールの展開

・適宜に使用されるキメ

・BPM200近いめちゃ早楽曲

 

上記の特徴は昨今のバンドサウンドからもかなり類似性が見受けられます。

ぱっと見、全部当てはまるのは凛として時雨とかでしょうか。


凛として時雨『Telecastic fake show』 - YouTube

 

BPMがとにかく上がりまくってるのが昨今のバンド事情らしく、KANA-BOONとかがその代表らしいです。とにかくティーンのうちでは早いのが流行りらしい。


KANA-BOON / ないものねだり - YouTube

 

ボカロの面からテンポを考えるなら、ボカロ自体早口の方が違和感なく聞こえるので必然的にBPMあがってきたんだと思います。その分岐点はやはりwowakaさんの楽曲ではないでしょうか。

 

でそうなってくるとやはりスパルタローカルズとかの影響も見過ごせないわけですし、結局のところNUMBER GIRLくらいまで遡ることになります。

 


Number Girl-透明少女(LIVE) - YouTube

 

NUMBER GIRL、今のニコ動ドップリの中高生でも多分はまる人多いんじゃないかなって思うんですが、どうなんですね。意見が聞きたいです。

NUMBER GIRLとカゲロウプロジェクトの「夏」は決して別物ではないと思うのです。

 

余談ですがNUMBER GIRLはリマスター版が発売されて、各メディアでそのフォロワーによって当時の思い出などが語られています。

 

Base Ball Bear小出祐介が語る NUMBER GIRLと『青春』

 http://miyearnzzlabo.com/archives/18771

 

ぶっちゃけリアルタイムでNUMBER GIRLに傾倒してた人間がリア充ってことまずないはずです。

暴論ですけどNUMBER GIRL―非リアバンドマンって構図がいろいろ巡った結果、カゲロウプロジェクト―インターネット大好きティーン に落ち着いたのかなと思います。インターネットで盛り上がってるメディアミックスに傾倒する人が学校でウェイウェイやってるとも考えにくいですし。

 

タイトルに戻りますが、僕が羨ましいのはこの点です。

NUMBER GIRLが現役の頃ってインターネットを通した交流ってまだ盛んじゃなかったし、多分同じNUMBER GIRL好き同士を探すのって現実ではかなり難しかったんじゃないかなって思います。

でライブハウス行くと「こいつらみんなNUMBER GIRL聞きに来てるのか…ほう…」って謎の高揚感はあるんだけど非リアだから声かけられなくて、他人と仲間のギリギリの関係の中で、最高に盛り上がる環境だったのではと推測します。

 

カゲロウプロジェクトのファンがとてもいいなと思うのが、インターネット諸々のおかげで「カゲプロ好きなんですか!僕もです!」ってのが気軽にできるようになった点。しかも楽曲自体はインターネットで無料で視聴(しかもPVつき)できるんだから、これほど恵まれたことないですよね。

作品自体も、共感できる仲間もぐっと近くなったのはとても良いことだと思います。

インターネットすごい!! 

 

■まとめ

そんなわけでここ数ヶ月でカゲプロにとても影響を受けた私ですが、同じくカゲプロに影響を受けたとろろ蕎麦さん@tororosoba id:fmnaka らとバンドを組むことになりました。

詳しい告知はまだですがイベントは9/6のようです。

最高の夏が待ち遠しいです。