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1k≒innocence

散文だったり、アニメ分析だったり。日常が切り取られていく姿は夏のよう。

「吹奏楽部」の夢―10年前、僕は中川夏紀さんと会っていた(はず)。

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ご多聞に漏れず『響け!ユーフォニアム』をとても楽しんています。

いろいろ言いたいことはあるのですが、どれも言語化の過程でただの絶叫にしか成り得ず、この作品の感想を公衆の場での伝達を前提にした表現ができそうもありません。

というか主人公の名前が親の名前と一緒なので「久美子と塚本早くどうにかなっちまえよ」とか「高坂久美子になる展開マダ?」といった関係各位の善き妄想を私はいっこうに喜ぶことができません。だから一貫してこの作品で当該キャラクターの呼称を「黄前さん」と統一しています。

まったくもって変換しづらく、生きづらい世の中です。

 

 

 

 

さて中川夏紀さん。

名前に夏を抱えるなんて素敵じゃないですか。中川さんは一生夏なんです。

だから冬服の時期でもポニテでいられるし、窓は全開なんだ。

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さて、当該作品を視聴していくうち、どうしても中川さんが、自分の過去のどこかに存在していたような気がしてきました。

こいつもついぞ創作と現実との区別がつかなくなったか、と思われるかもしれませんが(僕もそう思いました最初)、この違和感にはれっきとした理由がありました。

 

高校2年の時の同級生。

彼女は吹奏楽部員で、だいたいいつもポニテで、席は一番後ろの窓際でした。

 

出来すぎと思われますでしょうが、本当なんです。さすがに楽器はユーフォニアムじゃなくてフルートでしたが。(さっき卒業アルバムで確認した)

中川さんのようなちょっとタルい子、というよりはむしろ田中あすかさんのような明朗な方でした。

今日仕事中にこれに気づいて、デスクワークの静かなフロアで「アッアーッ」とぬるい声を漏らしかけるくらいにストンときてしまいました。

 

今でこそ楽器を弾くという行為が生活の一部になっているのですが、高校当時の僕はまだ一切楽器に触ったことがなく、音楽ができる人に対して無条件に憧れがありました。

またこれは全国的な共通認識であることを切に願ってやまないのですが、吹奏楽部というのは文化部のエースであり、校内ソーシャルで唯一体育会系とも肩を並べていられる非常に強い存在であると、当時も今も信じています。

「楽器という未知のツールを使う人たちが集団でパフォーマンスを行う(しかも素人でも楽しめる)」という、吹奏楽部は僕にとってただただ見上げるような存在でありました。

 

さてその同級生というのは吹奏楽部でもムードメーカー的な立場を確立していまして、踵を潰した内履きをパタパタさせながら、仲良しの吹奏楽部と廊下でよく通る声を響かせて、もちろんクラスでも良い存在感を放っておりました。

 

先ほど窓際の席、と書きましたが、そのちょうど斜め後ろに僕の席がありました。つまり僕から見て左前です。とはいえ左側には席がなかったため、実質一番後ろ同士だったわけです。そのせいもあってお互い無駄話をする機会が多い時期がありました。

僕自身は決してクラスの中心という存在ではなかったため、吹奏楽部でもクラスでも遺憾なく存在感を発揮する彼女に話しかけられるというのは個人的に一大事であったわけです。

 

田舎とはいえ一応進学校でしたので、学期が進むに連れてクラスの話題に成績が割合を占めてくるのは自然な流れで、近い席同士でテストだの模試だの成績表を見せ合うなんてことも間々ありました。当時彼女は確か外語大とかを志望校に書いていたような気がします。

幸い僕は英語だけは学年上位10人前後に入っていましたので、外国語学部志望の彼女からはよく英語の点数を見せろ見せろと言われておりました。(だいたい僕のほうが上だった)

で、割と自信があった回だったんでしょう、先に点数を見せつけてきて僕の答案用紙をぶんどった日がありました。…が、その日も僕の方が上でした。

アッハイハイいつものパターンですね、そう思った矢先。

 

顔をはたかれました。

はたく、と言うものの、スローモーションで頬を撫でるような程度に。

とても素晴らしい笑顔で。

教室で。

ワイワイしてるとはいえ、他の同級生がいるところで。

しばらく僕は固まってしまいました。

 

ふと気を戻すと何事もなかったように答案用紙は机に戻っていました。

彼女は教壇に背筋を伸ばし、特にもうこちらを気にかけている様子はありませんでした。

 

ちなみに彼女には当時とてもよくできたハンドボール部のイケメンの彼氏がいましたし、その後学年上がる時にクラス替えしてからほとんど話すこともないまま卒業しました。

本当"アレ"はなんだったんだろう。

 

 

僕をはたいた吹奏楽部の魔法は10年間ひっそりと息を潜め、ある日、突然襲いかかってきました。

 

吹奏楽部」は、永遠に憧れのまま、これからも輝いていくような気がしてならないのです。

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