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1k≒innocence

散文だったり、アニメ分析だったり。日常が切り取られていく姿は夏のよう。

『ヘルメンマロンティック』というCDが生み出す徒然のこと

今までちまちまアニメうんぬんポストモダンうんぬん、と騒いできましたが、今日はとあるCDのお話です。

大学からというかなりのスロースタートでバンドをやっている身としては、とにかくいろんな音楽に触れなければと考えています。
その結果高校の頃までB'zやらミスチルやスピッツやらぐらいしか聴いてなかったメジャー邦楽厨の俺が(今でも邦楽厨ですが)、今ではシューゲやらエレクトロやらエモやらに少しずつ手を伸ばし、少しずつプロアマ問わずいろんな音源を聴けるようになってきました。
もちろん手を出したい分野はまだまだ残っているのですが。

しかも大学入ってからは世はブロードバンド時代。ゆーふーふとかでとにかくいろんな曲を手軽に聴けるようになりました(もちろんCDも買います

そんな動画世代真っ盛りの僕が楽しみにしていたCDが、konozamaという呪縛を乗り越え今日届きました。



ヘルメンマロンティック

ヘルメンマロンティック


ヘルメンマロンティック/ノッツ


自宅録音、いわゆる宅録という形で活動されてきたノッツさん(http://knots.main.jp/index.html)のCDが、LOiD(http://loid.syncl.jp/)から発売されました。
ノッツさんは地元山口で10年来宅録という形で一人音源を制作し続けた生粋の引きこもり社会人。
東京に来ると人の多さにおののく姿は既にファンの中では有名のはず(?)


自主制作盤やHP上で音源を公開し、「若干P」名義で初音ミクに自作曲を歌わせ、さらにpixiv等で自作マンガまでこしらえ、終いにはねとらじで生放送弾き語りをやってのけるなど、一人メディアミックスを展開し続けるノッツさん。
そのどれもが魅力的で、音楽以外で世界観を構成するノッツワールドは一般のバンドと比較してかなりのドラマ性を具象しています


ガールミーツボーイ/ノッツ
ノッツさんの代表曲とも言える一曲。


若干Pから遡りノッツさんの活動に俺がたどり着くまではそう時間はかかりませんでした。
自主制作盤を送ってもらい(現在売り切れ)、HPのマンガを夜な夜な読み進め、いつの間にかノッツさんのコピバンまでやってしまいました。

邦楽厨の俺にはスピッツ的なポップ感、the pillowsやBJC的な毒とキレのあるトラックと歌詞が心地よいし、何より「宅録で地方で働きながら、たった一人でここまで出来るのか」という驚きがすさまじかったわけです。
素晴らしい楽曲の数々がバンドサウンドでアマチュア社会人の手によって作られてるという事実はとても魅力的だし、何より目標としたいと思いました。


今回「ヘルメンマロンティック」ではこれまでノッツさんが制作した楽曲の一部をリテイク・リマスターし、歌詞カードやらなんやらのほとんどをノッツさんが手がけたベスト的アルバムになっています。

音質の面ではリマスターしたことで音像がはっきりし、全体的に低音〜中音域が持ち上がったようです。
特にドラムの生っぽさが向上しています。
自主盤のカラッとした感じのミックスも味があるのでそっちもオススメです。


というわけで・・・
聴こう!ヘルメンマロンティック
http://knots.main.jp/herumen-tokusetu.htm



・・・と、ここまでただの支援のようななんだかわからない記事になっているので、またいつものテンションで記事を続けます。


■楽曲の面から
先ほどガールミーツボーイを代表曲、と言いましたがノッツさんの世界観はいい意味で基盤がばらけています。
鬱々としたアイシンクアンシンやかわいらしい歌詞のうそつきでもすき、シングルコイルの歪みが心地よい海沿いやちょっとメロコアチックな溜息戦争など、広い意味でポップロックを体現しています。この楽曲のバラエティさはノッツさんのご家族が填っていたB'zにも通ずる部分が大きいと思われます。

ギターポップ≒ロキノン系を好む人たちが比較的動画世代のコアをなしていますし、また聴きやすく通りの良い中性的な声質がまた流行と合致しているのではないかと思います。
そういう意味ではノッツさんの楽曲は大分時代を先行していたと思うのです。

いわゆる「ネットからデビュー」という形は既に珍しい形ではありませんが、ノッツさんの場合人気のある楽曲は既に数年前に制作していたものがほとんどです。特にヘルメンマロンティックの中ではキミリサイクルが7年くらい前の曲だったと思います(自信なし

テレパステレパス以外のほとんどが動画世代が形成される2005-06年以前の楽曲であるため、この世代を意識したり、また影響を受けた曲ではないのです。

奇しくもノッツさんは動画時代の音楽シーンを大分先取りしてたのではないかと思います。
すごいよ!ノッツさん


■コンテンツの面から
HPを見ると分かりますが、30分やそこらでは把握しきれないほどのコンテンツが盛りだくさんです。
過去の曲はmp3で試聴できますし、日記、ボイスブログのライブ音源、描きに描きためたマンガは読み始めると止まりません。
さらに定期的に配信されるラジオもノッツさんらしさに溢れています。

若干P名義から遡ってきた俺のようなリスナーが、ノッツワールドを深く味わうのに十分なコンテンツが既に用意されていたのです。

もしそれまでノッツさんのHPがなく、若干Pの活動に合わせてHPを作ったとしてもこの量のコンテンツを補うことは不可能でしょう。
そうした場合ノッツさんの活動はギターのうまい一介のボカロPに止まっていた可能性もありえます。

貯めに貯めたコンテンツがこうした形で多大な影響を表し始めたのです。


■まとめ
動画世代は確立してから日が浅いにもかかわらず、コンテンツの消費サイクルがそれまでとは考えられないほど早いのが特徴です。
気軽にオンラインで楽曲に触れられる一方、固定のファンやユーザーがつきづらくなったのもまたこの世代の特徴の一つです。

こうした中でクリエイト側もユーザー側にも疲弊あるいは迷走している、また空虚感を感じている人も多いのでないでしょうか。
動画からCDデビューというのも一時期よりもあまりもてはやされなくなりましたし、それを生業にしている人もそう感じている方は多いようです。


じゃあどうすればいいか、と思うとやはりその人がいいと思うものをじっくり作り上げていくしかないと思うのです。

動画世代の消費フローに載ったコンテンツはレスポンスがとても早いですしそれはそれで楽しいものですが、数ヶ月数年後を考えた時それが定着しているかどうかは怪しいわけです。
クリエイトする側としてはせっかく時間かけたものがすぐ忘れられるのはつらいものです。

それだったらパワーのあるコンテンツをじっくり作り、蓄積し、評価されたときがっちりリピーターをつける方がずっと嬉しいはずです。
その結果がっちりファンを掴んだのが今回のノッツさんの例ではないでしょうか。

本当に当たり前のことですが、いいものをマイペースで納得のいくように作ることの大切さが、ノッツさんによって改めて見直される気がします。
そんなステキCDを制作したレーベル、LOiDもまた注目すべき存在ではないでしょうか。


というわけで聴こう!ヘルメンマロンティック

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