ムギ「普通の女の子に戻りたい!!」
「反=アニメ批評http://d.hatena.ne.jp/ill_critique/20090523/1243047372」さんのところでムギの論客が少ない、とのことだったので書いてみました。
けいおん!のムギのひたむきさに心打たれたお話です。
今回ムギ論を展開するにあたり、まず比較検討ということでらき☆すたを採用したいと思います。
多くの視聴者がらき☆すたとけいおん!でかぶせている部分があると思いますから。
まずはらき☆すたのキャラ構成を簡単におさらいしましょう。
・ツンデレと言われつつ実際はドMのかがみ≒澪
・マターリ万能、リーダー的存在のこなた≒律
・おっとり天然のドSのつかさ≒唯
・歩くwikipediaの名を欲しいままにしたお嬢様みwi…もといみゆき≒紬
ムギ≒みゆきの構造は言うまでもないとして、気にしたいのはキャラ同士の関係です。
けいおん!と比較します。
らき☆すたでは全員部活をやっているわけでもなく、全員平等の立場でした。
だからこそ人気が完全にキャラ付けにひっぱられ、いじられかがみが大人気、イマイチキャラ映えしなかったみゆきの不人気を招きました。
一方けいおん!は全員が部員=目的集団です。
さらに律が一応の部長という立場です。
余計に言うなら楽器のパートというキャラ付けもあります。
第二話
唯「楽器選びにも性格が出るようです」
つまり性格などのキャラ付け以前に、既にある程度のキャラ付けがされてしまっています。
前提のキャラ付けのないらき☆すたは完全に後付けでキャラが確定していくのに対し、けいおん!はステレオタイプ的なキャラ付けが既に発生しているのです。
それではムギに注目します。
二話までにムギに与えられるキャラ付けは鍵盤であったり社長の娘など、典型的なお嬢様属性です。
そしてここにみゆきがミスリードされ、ムギのキャラにはみゆきが内包されることになります。
いつからかはわかりませんが、お嬢様=腹黒という図式ができあがり、さらにムギ+みゆきという二重のお嬢様化は視聴者に早い段階から「ムギはきっとブラックだ」という期待を持たせました。
事実原作ではそうした場面もあるのですが、京アニはすべてこれを排除するというかなり大掛かりなテコ入れをしています。
・ギー太を意識的には値切らない
・ギー太のメンテ費を踏み倒さない
原作ではさっさとお嬢様権力を行使するのですが。
さらにここに「世間知らず」という要素を活かしていきます。
お嬢様の世間知らずは得てして嫌みになりがちなのですがムギの場合
・ファストフードに入ったことがない
・ポテトを友達と山にして食べたことがない
・値切る、という行為がなんだかわからない
・バイトしたことがない
・みんなで人生ゲームをしたことがない
実はムギはかなり不遇の人生を送っているのかもしれません。
ムギ自身もかなりそれを自覚している節が多々見受けられます。
・「私、とっても楽しくて愉快な仲間になりたかったの」
・「普通でいいって言ったのに…」
・(泣きながら)「お船もいらないー!」
このように
お嬢様=万能
ではなく
お嬢様=普通になりたい
と、捉えた場合、けいおん!の裏にはかなり壮大なムギの物語がイメージできます。
演出的な面で言えば、主要キャラでムギは唯一自宅の様子が描かれません。
豪邸を描いてしまうとムギ普通化計画は説得力がなくなりますし、実は他のキャラほど平和な家でもないのかもしれません。
そもそもお嬢様が電車通いで割と普通な女子高に通っている時点で場違いです。
進路でもめた琴吹家を想像するのは難くないでしょう。
以上、けいおん!は「普通の女の子に戻りたい」、ムギのサクセスストーリーだったのです。
こんなことを妄想すると、最終回でのふわふわ時間をどんな気持ちでムギが弾いているか、考えるだけで鳥肌です。
いろいろ騒ぎましたが、律×ムギの関係性について。
ムギが普通になろうとしているのは前述した通りです。
その行動に律を足してみます。
・ポテトの山をわざわざ律の山に混ぜた
・律が値切ったのを聞いて、面白がって値切った
・和×律の様子を見てわざわざ「りっちゃんたら…//」と律にだけ言及した
さらに律×あずでホクホク
・ムギの携帯はおろか、家電まで知ってる律
そもそもムギを軽音部に入れたのは誰だったでしょうか。
普通に憧れること、それは律に憧れることと同義なのかもしれません。
ムギのこの熱い思いをキャラソンのカップリングに採用してくれないかと、切に願います。
カップリングですし←